コラム「オフショア開発の最新動向」column

3月チーム再構築の法則

中国社会は大きく変わろうとしています。経済成長予測の下方修正、温家宝首相の3/14会見と党指導部の刷新、中国版所得倍増計画の推進・・・。

2012年3月現在、中国ソフトウェア人材市場は活気に満ちあふれています。そして、この時期は、多くのオフショア委託先で、密かにチーム再構築が進められます。主な要因は以下の通り。

・春節明けの離職急増
・3月末納品に向けたラストスパート(人海戦術の強化)

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中国では、春節(旧正月)の直前にボーナスを支給します。よって、春節明けは「離職者」が大量に発生します。ボーナス支給後を狙って計画的に会社を辞める人もいれば、ボーナス支給額への不満から転職を決意する者もいます。

今年は、去年以上に大量の転職者が発生したため、多くの対日オフショア現場が混乱しました。わずか3年前、多くの対日オフショア企業で自主的な離職者はほぼ皆無だったのがまるで嘘のようです。

毎年この時期は、日本の年度末納品にあわせた追い込みに追われます。一方で、年度末は、大量転職によるチーム力低下リスクが顕在化する時期とも重なるため、チームに残留した優秀なリーダーに対しては周囲の想像以上に負荷が集中します。

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ある対日オフショア企業で活躍する中国人リーダー徐さん(仮名)も、年が明けてから多忙な毎日を送っています。念のため、「年が明けてから」とは春節明けを意味します。

今年は、幸いにも、徐さんのチームでは転職者は現れませんでした。ところが、別チームでキーパーソンが申し合わせたように一斉離職したため、徐さんチームの中堅メンバーが1名、緊急応援のために別チームに異動することになりました。

組織の全体最適化のため、徐さんは3月末納品を危うくする大きなリスクを背負い込んでしまいました。

■ 問いかけ

<問1>あなたのオフショア開発現場では、春節明けに離職者は発生しましたか?(Y/N)

<問2>中国オフショア企業でキーパーソンが申し合わせたように一斉離職したのはなぜでしょうか。考えられる理由を複数挙げなさい。

<問3>毎年3月、いくつかの中国オフショア現場では、貴重な戦力としてコーディングやテストを担当してきたインターン学生が試験のために大学に戻る時期とも重なります。あなたのオフショア開発現場では、チーム構成の変化について正直に「報連相」していると思いますか?(Y/N)

<問4>いくつかの中国オフショア現場では、顧客を不安がらせないために、メンバーの離職や社内異動の事実を日本側に隠蔽します。一括請負契約では、請負企業側の内部事情を顧客に説明する義務はないので、「隠蔽」とは言い過ぎかもしれません。現場のリスク管理の観点から、無事に3月末納品(or 4月大型連休前納品)を迎えられるようにするため、どのようにチーム再構築すればよいでしょうか。

回答例:中国側の社内事情については一切関知せず。正直に報連相したリーダーを罰しないよう上層部で取り決める、など。

<問5>2012年3月現在、中国ソフトウェア人材市場は活気に満ちあふれています。次に、中国ソフトウェア人材の転職熱が冷める時期を予想しなさい。

回答例:未来は予想できない。来年までは好景気が続くが2014年以降は不透明だ。中国のGDP成長率を下げることで転職熱も下がって欲しい。など。

p.s.
<問6>中国にもホワイトデー(3/14)の習慣はある(Y/N)

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