コラム「オフショア開発の最新動向」column

女性問題で自滅する日本人駐在員

先ほどネット書店アマゾンをのぞいたら、半年以上も前に出版された拙著「オフショア開発に失敗する方法」が、カテゴリ中国部門で堂々第4位にランクインしていました。予期せぬ躍進に大感激。アマゾン第4位ランクインを記念して、同書から私のお気に入りの演習問題をピックアップします。

●問題3「女性問題で自滅する日本人駐在員」(幸地 2008, p311)

日本から中国現地法人に派遣された男性課長(46歳)。中学受験を控える息子がいるので、日本に奥さんと子どもを残して単身赴任。中国では、勤務先の近くのマンションに暮らす。現地では高級マンションの部類だが、さすがにここは中国。お湯が出ない、ネットが通じない、廊下の電気が切れた、鍵が壊れたなどの諸問題が頻発する。途方にくれる男性課長。赴任間もない彼は、カラオケ店でひいきにする女の子に頼み込んで、マンション管理人との交渉を依頼する。

ここでは、必ずしも中国標準語が通じるとは限らない。現地語で交渉しないと、相手にされないことも少なくない。郷に入っては郷に従え。カラオケ店の彼女は常連客のために見事に諸問題を解決した。大感謝の男性課長。

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そのうち、愛人となる。

日本では、「課長」の肩書きを持つこの日本人駐在員。なんと、中国現地法人では「総経理」の立派な肩書きを持つ。しかし、悲しいかな、この男性駐在員は、自己主張の激しい複数の部下をまとめるにはいささか経験不足であった。更に致命的なことに、この総経理は、現地法人の財務諸表を読む力が決定的に欠けていた。要するに、日本から派遣されたこの駐在員は、経験不足&能力不足であった。

部下からの尊敬を失うのも早かった。やがて、この総経理の愛人問題が発覚。どこからともなく、本社に密告がいったようだ。この駐在員はあえなく緊急送還。本社での出世街道からはずされた。しばらくして、この男性は妻と離婚したという。

出典:幸地司(2008)、オフショア開発に失敗する方法、ソフト・リサーチ・センター

■問いかけ

あなたが会社側の立場なら、どうしますか。後処理と前処理をそれ
ぞれ検討しなさい。

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