コラム「オフショア開発の最新動向」column

パートナー選定基準(2)-社風、分野、事業拡張性

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)

Q.新たなオフショアパートナーを見つける際のCheckPoint(例えば、数社比較を行い評価するノウハウ)があればご教示頂きたい。

A.(前号の続き)

・会社の規模感
・委託ソフトウェアの規模感
・交流言語

・社風/企業文化

100名未満のオフショア委託先に社風はありません。あるとすれば、社風=社長の人柄。技術出身で、いまだに現場稼働する社長が率いる組織と、営業・政府人脈が得意な社長が率いる組織の風土はまるで違います。

同様に、英語が得意で独自技術に誇りを持つ社長が率いる組織と、日本語が得意で在日経験を売りとする元技術者の社長が率いる組織も、全く違います。

オフショア大學のM講師は、自社とオフショア委託先の相性を確認するために小規模プロジェクトのお試し発注を推奨しています。ちなみに、CMMiやISO 等の各種規格の実績は、思ったほど社風には影響しません。

・技術/分野/ツール

対象となる技術、分野、利用ツールによってオフショア委託先の選択は異なります。ただし、これまでに紹介した規模感/言語/社風と比べるとCheckPointsとしての重要度は下がります。

実際、オフショア委託先が自称する「経験あり」は、ほとんど信用できません。例えば、3年前に、既に退社した元社員が担当した、詳細設計に従うだけのモジュール作成を「金融分野経験あり」と自称しているかもしれません。

現在保有する定量的能力や実績よりも、将来の成果につながる定性的能力を重視すべきです。

・発注量と継続性

小規模かつ単発委託が前提なら、コスト削減を目的とするオフショア開発は辞めたほうがよいでしょう。コスト削減以外の目的、例えば、国内では到底無理と思われる下流工程の急速人海戦術を期待するなら、コストを度外視したオフショア活用で活路を見いだせるかもしれません。

どうしても、小規模かつ単発プロジェクトのオフショア委託でコスト削減を狙いたいなら、将来の「ラボ契約」をちらつかせたニンジン作成が効果的です。日本国内でも、非人道的な活動が横行するソフトウェア多重下請け業務なので、多少のハッタリなら気にすることはありません。そのうち、オフショア委託先の方が、そのうちより強力なハッタリをかましてくるはずなので。

発注量と継続性を天秤にかけるなら、継続性の方がよりオフショア開発の成功に寄与します。たとえ小規模でも、1年以上、継続してオフショア委託する仕事量があるなら、戦略パートナーとしてオフショア委託先の持続的成長を支援する選択もあり得ます。

・オフショア以外の事業拡張性

「コスト削減が主目的」を信条とする会社と「将来の海外市場開展開を見据えたい」を戦略とする会社は、オフショア委託先の選択がまるで異なります。

■ 問いかけ

<問1>一般に、海外オフショア企業が実績として誇るCMMiやISO は思ったほど社風に影響しません。一体なぜでしょうか。

<問2>発注量と継続性を天秤にかけるなら、継続性の方がよりオフショア開発の成功に寄与する。この主張に同意しますか?

<問3>将来、海外市場の内需案件を狙いたいなら、どのようなオフショア委託先を選択すべきでしょうか。国や地域別に検討しなさい。

<問4>将来、オフショア委託先で自主製品開発を狙いたいなら、どのようなオフショア委託先を選択すべきでしょうか。国や地域別に検討しなさい。

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