コラム「オフショア開発の最新動向」column

ミャンマー訪問記「もしミャンマー人SEが離職するなら」

先月、ヤンゴン市内の日系企業でミャンマー人Software技術者に社内講義しました。今号も、ミャンマー実地調査で気づいた点を紹介します。

【ミャンマーの都合の悪い噂】

(a)ミャンマー人は集団作業が苦手、自発的なチームワークは期待薄
(b)ミャンマーでは仕事の後に「一杯飲む」習慣がない
(c)今でも頻繁に停電する
(d)意外に流動するミャンマー人労働者

今日は上記(d)を解説します。

先に「流動しない」Software技術者について考察します。後日、流動するミャンマー人労働者について言及します。

2013年8月現在、複数の関係者によると、日系企業で働くミャンマー人SEの転職率は低いそうです。主な理由は2つ考えられます。

1つ目は、有力な転職先が少ないから。

特に日系企業は、新卒採用して自社の社風に染め上げる採用方針を好むから。少し頭をひねると、英語力を活かして欧米企業に転職する選択が考えられます。ところが実際には、長年に渡る経済制裁の影響からか、SEを大量採用する米国企業のミャンマー進出は確認されていません。

2つ目は、多くのSEは他社で即戦力となるほど成熟していないから。

主力である25歳以下のSEは、学生時代に実機によるSoftware開発の訓練をまともに受けていません。よって、残念ながら、同世代の中国人SE(21歳~25歳)と比べて、基礎的な開発経験不足は否めません。

中国の大学では、世界中の有名企業がこぞって自社製品を寄贈(安価に提供)して、学生の囲い込みに躍起になっています。よって、中国人学生は、日本の社会人SEと比べて勝るとも劣らないほど業界標準的なSoftware製品に馴染んでいます。Microsoft、IBM、Oracle/Sunはその代表格。

以前の最悪期と比べて、きちんと使用料を払って正規版Softwareを使う中国企業も増えています。

成長過程におけるこのような環境の違いが、中国の若手SEとミャンマー人SEの経験の差を生み出しています。その結果、幸か不幸か、よく転職する中国人SEと、あまり転職しないミャンマー人SEという違いも生じています。

■ 問いかけ

<問1>ヤンゴンで働く一般的なSEが離職するとしたら、どのような理由が考えられますか?

<問2>今後、もし、ミャンマー人SEの離職率が高まるとしたら、どのような環境変化が影響すると思いますか?

*Hints: オフショア大學公式メールマガジンに詳細な補足説明が追記されています。

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